Pは、持株の価格とダウ平均などの相場の指標との比較については、まったく関心を持たない。
彼が評価するのは、それらの株の発行体H企業の業績であり、短期(日、週、月、年)の、変動極まりない株価ではない。
長期(何年)で見れば、企業の業績さえよければ、市場はいつかの時点で必ず株価を押し上げるだろう、というのが彼の考えだ。
相場にほとんど関心を示きないのと同じように、Pは、GAAP、つまり統一会計基準に基づいてつくられる公表利益についても、それほど重くは見ない。
それに基づいてつくられるPの公表利益は同社の実態とは違った印象を与えるかもしれないが、かまいはしないと考えていPが関連会社についる。
株主投票権のある株式を何パーセント保有しているかによって、て適用する会計方法は三つに分けられる。
五O%を超える持株||連結子会社とする。
二0−五O%、その企業の経営に影響力あり、と想定し、その企業の利益を持分に応じてPの利益として計上する。
二O%未満l配当分だけを計上(留保利益分は表に出てこない)。
Pの保有株(普通株)はすべて二O%未満だから、を適用することになる。
そして、この普通株投資は多額にのぼっているため、会社の収益にも無視できない影響を持ってくる。
現在、各社にある未配分の留保利益の総額は、連結子会社の利益の合計に匹敵する大ききになっている。
たとえば一九九O年、PはC/ABC株を一八%保有していて、周年の同社の利益は四億六五OO万ドルだった。
Pは、その一八%、八三OO万ドルの所有者になったが、決算では、受取配当金の五三万ドルだけが利益に加算されている。
一般企業の経営者は、できるだけ多くの利益を公表したいと考えるので、この基準を受け入れ難いと感じるだろうが、Pは違う。
したがって、Pが保有するこの種のか留保利益は厚い。
彼は会社を買収する場合よりは、二O%未満の株式を手に入れるほうがはるかに割安の価格になる、と言う。
Pにとって価値があるのは、留保利益を。
公表。
できるかどうかではなく、それをいかに再投資するか、その再投資によって、将来いかなる収益が期待できるか、という点にある。
「関心があるのは、監査役が木の倒れる音を聞くかどうかではなく、誰がその木を所有し、次にそれをどのように使うか、ということだ」この種の未公表利益の値打ちをPの株主に理解してもらうために、彼はルック・スルー・アーニングス(見なし利益)。
という二言葉を用いることにした。
Pの見なし利益は、連結べースの営業利益(持株への配当金を含む)、プラス投資した企業にか留保。
されている利益、マイナスその留保利益が支払われる(と仮定した)ときに課税される税金、ということになる。
Pは毎年、この持株に関する見なし利益の表を作成し、株主の理解のために提供している(表3)。
一九九一年、この。
留保利益。
は二億三OOO万ドルで、仮想の税金を引くと二億ドルだった。
これをPの営業利益三億一六OO万ドルに加えると、見なし利益は五億一六OO万ドルになる。
公表利益は氷山の一角と言えるのかもしれない。
一九九三年には留保利益は四億三九OO万ドル、税引後で三億七八OO万ドル、見なし利益は八億五六OO万ドルにのぼった。
Pが、Pについて抱いている長期目標は、実態価値の年平均の成長率を一五%とすることである。
利益が年々一五%伸びるようであれば、Pの業績もまた同率で伸びるだろう、と言う。
実際、一九六五年以来、この利益の伸びは年間二三%で、Pの純資産の成長率とほとんど同じであった。
増え過ぎると、あるとき、唐突に集団自殺行動に走る。
これが定期的に繰り返されてきたという。
Gは、投資家のなかに不合理な動きをする者があることを、このレミングにたとえて説明している。
「ある石油探鉱者が天国に百されたが、セント・ピー夕ースに呼ばれ、石油業者が多過ぎて入れる余地がないと言い渡された。
しばし考えたその男は、一言その連中に言わせてほしいと頼む。
許しを得た男は、大声でか地獄で石油が出たぞと叫んだ。
直ちに下の世界への門が聞いて、連中がわれ先にと降りて行ってしまった。
そこでセント・ピータースが、空きができたようだから入りたまえ、と呼び入れようとすると、その男はグいや、私も下に行こうと思います。
あの噂が本当になるかもしれませんから。
と言った」ウォール街のプロフェッショナルだちは、教育もあり、才能、経験にも不足はない。
彼らが働く市場では、もっと論理的な、理屈にかなった力が働いていてもよいではないか。
Pには納得がいかない。
事実、機関投資家の持株比率が高い銘柄ほど値動きが荒い傾向がある。
企業経営者には、自社株の価格を決めることはできない。
彼らは、ただ企業情報を流し、まっとうな行動をすることによって投資家を力づけられれば、と望むだけである。
株価の乱高下は、その株から得られるトータルな利益の推移などによるものではなく、機関投資家がとる、レミングのような行動の結果であることのほうが多い。
彼のか長期方針で買って待つ。
という手法は、今の機関投資家の資金運用担当者がとっている戦術からはかけ離れたものだろう。
彼らは、ウォール街で新しい見方が広まると、早々にポートフォリオの銘柄入れ替えをする。
また、そのポートフォリオは、主な業種のグループに分散されている。
それは、それらの業種に属する企業の価値を評価して、というような強固な意志に基づいて選択した結果というよりは、市場の趨勢に遅れて、責任を問われることがないようにという考えからのものだ。
Pの意見ではか機関投資家。
という名称は、矛盾をはらんだものになりつつあり、マネー・マネジャーを投資家と呼ぶのは、夜の女をロマンチストと称えるようなものだ。
標準化された分散投資を行なうという点では、一般のマネー・マネジャーのほうが、Pよりも保守的な運用を行なっている、と批判する者もいる。
Pは、これに同意しない。
マネジャーたちが、彼よりも伝統的な手法を用いていることは認める。
しかし、伝統的と保守的とは同意語ではない。
保守的な手法は、事実のうえに立った論理を基盤にしている。
Pは。
重要。
人物が同調してくれるからと言って自信を深めることはないし、彼らが自分の投資観に反対しても、ひるむことはない。
伝統的であろうとなかろうと、他人の同意や反対に関係なく保守的な資金運用を行なう、という立場を譲らない。
運用の成果が、主要な株価指標を超えることができないという場合、これはそのマネジャーの能力の問題ではない。
機関投資家における、意思決定のプロセスのあり方を示すものだ。
そこでは、ほとんどの場合、グループまたは委員会が意思決定を行なうが、彼らは、一般に認められたポートフォリオ防御要綱に従って進めようという強い願望を持っている。
マネー・マネジャーを一層う機関投資家の考え方では、平均と安全は同義語である。
標準的な分散投資法を遵守することは、合理的であろうとなかろうと、独自の考えで事を行なうよりはよいとされる。
つ筋が通つてはいるが、馬鹿げた。
と見られることもあるような決断を下したところで、たいていのマネージャーには得るところがほとんどない。
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